2012/06/23

おさんぽ(公民館だよりから)

 「公民館だより」に掲載された「オサンポ」です。ピノキオ幼児園に通っていた方に実際あった話です。障がいというものの姿を皆さんに知っていただきたいと、黄金ネットワークのAさんが寄稿してくれました。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ボクは、東小金井駅近くにある障がいのある子どもが通う訓練施設、ピノキオ幼児園に通っていました。先天性の脳機能障害といわれる「ジヘイショウ」です。 ボクの苦手は、「お友達と遊ぶこと、蝉(せみ)の声、自転車のブレーキの音、お椅子にじっと座っていること。」好きなことは、「電車を見る事、一人で積み木を並べること、赤い色」です。 ピノキオのお友達には歩くのが苦手な児、夜ネンネしない児、食べることが大変な児、言葉がうまく言えない児、みんな少しだけやさしい人達のお手伝いが必要な子ども達です。 ボクが四歳のころ、ママ・パパを悲しませていたのは「お手手つなぎ」がとっても厭なことだったのです。 ある日、突然パパとママとお手手つなぎができなくなりました。どうしてかボクにもわかりません。ピノキオ幼児園では、お天気のよい日は、一時間くらいお散歩をします。桜の花びらを浴びて広い公園で蝉の声を聞いて、秋風に誘われて枯れ葉を踏んで元気に歩きます。ボクはいつのまにか先生とお手手つなぎをしていました。それがとても楽しくてうれしかったのです。ある日、通園バスで帰る僕を待っていたママに、お散歩と同じに「お手手つなぎ」しました。ママは驚いてボクを見つめ、目にいっぱい涙をためて、ボクを抱きしめたのです。ママの涙がボクの顔(ホッペ)を流れていきました。 ボクは、ピノキオで歩いた散歩道をパパ、ママ、オジイチャンと一緒に歩いています。