2016/06/23

すべての会社の 障がい者雇用率を4%にすれば、すべての障がい者が就労できる・・6月月例セミナー報告

 6月11日(土)黄金ネットワークの月例セミナーでした。講師に株式会社いなげやの特例子会社(株)いなげやウィング管理運営部長(兼)事業推進部長の石川誠さんをお招きしました。
 いなげやで人事部門を担当し11年前から現職。担当になった当時は障がい者イコール肢体不自由のイメージだったが、知的障がい者の雇用義務化以降は、都立特別支援学校から卒業生受け入れの打診が来るようになり、当時は学校側も手探りで就職先を探している状況だった。
 2002年から厚労省による精神障がい者のグループ就労モデル事業をスタートし、2010年に特例子会社いなげやウイング設立し、雇用率1.3%当時にすべての会社が障がい者を4%雇用すれば全ての障がい者が就労できる4%を目標にした。いなげやが発行している「チャレンジドガイドブック」によればグループ会社全体の雇用率はH26年時点で3.6%で274人。(民間企業の法定雇用率は2.0%)
 親会社のいなげやと関連会社2社、特例子会社いなげやウイング合計で雇用率を計算している。


 特例子会社は設立が目的ではなくスタート、手段にすぎない。雇用した障がい者は労働者として企業が評価する。まずは与えられた仕事に責任を持ち懸命にこなすことが大事。
 退職率は知的はほとんどない(3%)、精神障がいで6%で、本人の状態などどうにもならない事情で退職している。
 障がい者就労定着の秘訣は、就労を望む障がい者が企業風土や会社を知り、価値観や行動規範、社風を理解すること。当事者には、コミュニケーションの達人になる社会性が求められる。雇用する企業側も積極的な傾聴が非常に重要で、石川さん的には「あいづちのソナタ」ソ=「そうだな」ナ=「なるほど」タ=「確かに」を信条に仕事している。
 お話の中でご紹介いただいたケースでは、愛の手帳4度で早朝6時30分からの品出し業務につき商品の陳列も完璧で就労が継続しているケースや、本人が混乱し暴力などの問題行動から退職してしまったケースなどの紹介もあり、職場での実践を通じ、障がい者本人が誇りを持ち、職場の理解を得て仕事を続けている頼もしい姿の紹介や、障がいゆえにどうにもならない理由で退職してしまうケースの話から障がい者就労支援と継続の取組みと工夫を伺い、私たち障がい者家族にとっても障害特性の理解と社会参加の意義、職場での合理的配慮についての学びが多くちりばめられたお話でした。